『ニュー・シネマ・パラダイス(完全版)』(1988)

−映画を愛すること−
アルフレードは映画になった。
燃えさかるフィルムとともに、失明したアルフレードは、映画そのものになった。
永遠に「見る」ことの叶わない「見られる」存在となったアルフレード
そして彼の発する言葉は、すべて映画によって形作られた模倣となった。

しかし、トトをシチリアから解放したのも、トトをシチリアに呼び戻して自己回復させたのも、アルフレードの肉声であり、肉体によるものであった。

ラストのキスのラッシュもまた、「アルフレード」が遺した、トトへの愛である。


ニュー・シネマ・パラダイス』は、映画を愛した男達の、映画を通じた愛を描いている。
けっして、映画を愛する映画などではないのだ(ジュゼッペ・トルナトーレが映画を愛していることは疑いないが)。