「神作画」とは何か?

最近ずっともやもやしていたことがありまして。
アニメ感想系サイトで『涼宮ハルヒ』の評価として「神作画キタコレ」という言説をよく見かけます。
私は作画オタじゃないので作画について詳しいことはよく分かりませんが、少なくとも「神作画キタコレ」と書かれているサイトの管理人は一般的に作画オタクではないことが多い。で、作画に造詣が深いと目される方は『涼宮ハルヒ』の作画について言及されることが非常に少ない。
つまり、作画に造詣の深い方とただのファンの間における作画に求めるものが全然違うということをうまく説明できなくて、ずっともやもやしていたんですよね。
この違いについては、なんとなくは分かるんですがうまく言語化できなくて、非常にもどかしい思いをしていたんですが、『WEBアニメスタイル』のanimator interview なかむらたかし(3)のラストのやりとりを読んで、ちょっとはもやもやを言語に置き換えられるかもしれないと思ったので引用してみます。


小黒 ただ、通常の劇映画であろうとする場合の、大半のアニメーションが求めるもの。日本の商業アニメに関して言えば、ほとんどがリアル志向なんじゃないんですか? リアル感を求めているというか。

なかむら うん。それはなぜかと言うと、まず基本的に、演出側に伝えたい事があって、その要請に応える形でアニメートがあるからだね。


小黒さんとなかむらたかしさんの語るリアル志向については非常に扱いが難しいので暫く措くとして、ここで注目したいのは「演出が先行して、その要請に応える形で作画が存在する」ということについてです。
察しの良い方ならお分かりかと思いますが、一般のアニメファンが「神作画」と言っているのは、演出の要請によく応えているという意味なのではないかということです。
一方、作画に造詣の深いの方が「すごい作画」だとするのは、演出の要請の範疇を守りつつも超えていく、一種の職人芸みたいなものに対して用いているという印象があります。
その作画における認識の差異に、私は違和感を感じていたのだろうと。
で、ここからなかむらたかしさんの語る「リアル」さについて言及していくとその認識の差異に対する違和感は一気に氷解するような気がするんですが、考えが纏まらず、ごちゃごちゃしそうなので後日。