『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』

2ヶ月前くらいに深夜に放送していた本作をようやく今日視聴。
原恵一監督作品は『オトナ帝国』『戦国大合戦』以来3本目の視聴。
wikipediaを読んだら原恵一氏の説明で「論理よりも感情的に作品作りを〜」云々と書かれていますが、本作のみの印象ですと、非常に論理が先行しているような感じを受けます。
それというのもギャグがすごいロジカルなので。特にかすかべ防衛隊のジャングル探検中のギャグは相当ロジカル。間の取り方とか、ギャグのテンポなども含めて、編集まで隙が無さ過ぎる。
これだけ理詰めでやられると、原監督はほんとは全然ギャグを書く気がないというのが分かります(笑)。
やはり劇場作品なだけに画的にも非常に面白かったです。
特に探検中にまさおくんが崖から落ちそうになっているのをみんなで助けようとしているシーンでの遠景からのトラックアップはびっくりしました。何事かと思いましたよ。ま、多分何らかのデジタルな処理が施されているんでしょうが。
ばんばんカットが変わっていく、非常にスピード感のあるカット割で見ていて小気味よかったです。今日は1時間しか寝てないのに、眠くなったのはクライマックスだけですから(笑)。
アクション仮面が冒頭で現実に現れて、最後のシーンで映画の世界に帰って行くという卑怯な構成はともかく、単純な正義対悪という構図を逸脱しようとしていたのは分かります。
私にはこの理詰めのシナリオが、アクション仮面パラダイスキングの闘いをわざとプロレスっぽく演出してるような気がするんですよね。つまりプロレスという「脚本ありき」の装置を用いたメタフィクションの善悪に。
言い換えると、単純に勧善懲悪を描くのではなくて、プロレスという「脚本ありき」の装置を用いることによって、二元的な善悪の関係をメタ化してるように感じる。
ハナっからアクション仮面を登場させて、これが「善」、パラダイスキングが「悪」という分かりやすい構図を作って、それをプロレス的なデスマッチなどで消化することによって、どっちも作り物の嘘っぱちであることを描いているという。
それとラストシーンの夕日の中に映る豪華客船って何かの映画のオマージュのような気がしてならないんですが、何だろう。