『プリンス&プリンセス』(1999)

6つの「お話」は、真面目に見ていると教訓めいた説話ばかりでうんざり(笑)。
劇中劇なので解釈はそれこそ無数に可能だが単純に面白かった。ちとつまんない解釈でも垂れてみます。
まず面白いのが六角形で形作られた劇のフレームがあり、三角形で形作られたアイリスインで物語を始めて、アイリスアウトで物語を終えること。つまり、「お話」を構築している「三人」はフィクションはフィクションであることを自覚しており、視聴者との共犯関係の中で劇が展開される。この共犯関係はまた、劇中で1分間の休憩(「お話」を我々が創るように提示される)時間を設けたことによっても証明される。視聴者と「三人」を隔てるものはスクリーンに向かうものとスクリーンに投影されるものという立場の違いに過ぎないのだ。
さらに、「お話」が全て変身する物語であることも面白い。しかもその変身は「影絵」によるキャラクターが行うことによって、対象の中立性、抽象性を支持し、まさに何者でもなくまた何者ともなりうる存在として描かれている。
また、この「お話」ではパースが無視される。2番目のエジプトが舞台の「お話」でエジプトの絵のように前を向いている人間が身体は正面を向いているようなポーズをとるように指示されることや、日本を舞台とした話で北斎の版画を用いたいから19世紀初頭の「お話」にしたいという「三人」の中の男による発言があったりと、意図的に紙面上の2次元を強調しているように感じる。
要するに、本作はアニメの面白さ乃至特長の中で、「動き」ではなく、2次元に対する人間の「想像力」を表象しているのだと感じたわけです。
とか何とかいいつつ他のミッシェル・オスロ作品見たことないんですが。『キリクと魔女』は最寄りのレンタルビデオ屋にあるのでそのうち見るかも。

調子に乗ってついでに