『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(1993)

軽く度肝を抜かれました。これが岩井俊二か。
プールサイドで横になって片足だけプールに浸けている奥菜恵がエロすぎる。水面に反射する陽光と物憂げに横たわる奥菜恵の脚部が織りなすフェティシズムを超えた美しさが、文字通りの瑞々しさで迫る。胸元のアリや着替えシーンなどは蛇足としか思えん。
これだけのショットだ、まさか本作で奥菜恵という存在を最大化するプールという場面設定をこのシークエンスだけで終わらせるはずがないと思って見ていたが、やっぱり夜に再び山崎裕太と帰ってきた! しかも今度は全身着水!! そしてカットバックで挿入されるバカ4人組の叫び声と直後から流れる「Forever Friends」のメロディーが、情緒的な雰囲気を一気に盛り上げる。
そして何より本作はテンポが良い。45分という時間の短さが贅肉を削いでいるのか、小細工なしでひたすらキャメラを被写体に寄り添わせる。教室で5人が花火が平べったいか丸いかを議論(?)するシーンでのカットの繋ぎやキャメラワークもムキになっていく4人を描出していくリズム満点のシークエンスに。
それとなずなに告白されたことを白状する反田孝幸山崎裕太のやりとりが微妙にイマジナリー・ライン越え。頭ナメの切り返しなので違和感はないんですけど。
それにしても浴衣姿で駆ける奥菜恵の見え隠れする左足の艶めかしさといったらもう、ってそんなとこしか見てないんかい!!


ちなみに同じく岩井俊二リリイ・シュシュのすべて』も見たのだが、こっちには本気で度肝を抜かれて呆れかえって腰抜けたので後日。