「かりん」

第16話 「エルダの恋バナは 恥ずかしい」
エルダの「恋心」という血の嗜好がすごく良かったです。設定自体にジレンマが内包されていて、エルダは人間をどれだけ好きになっても報われない。その人間のエルダに対する「恋心」を吸い取ってしまうわけですから。これはものすごい残酷ですよ。エルダがヴァンパイアである限り超越できない絶対的な枷です。
エルダ自身は青臭い思い出のように語っていますが、これは明らかに諦観のニヒリズム。エルダがかりんの恋路を邪魔しようとするのは自分と同じ徹を踏ませないためという大義名分だけではなくて、かりんと雨水に対する羨望や嫉妬といった私的な感情が入り混じってくるはず。
この設定だけで私はエルダにゾッコンです(←死語)。なんかもう、エルダが主人公でいいですよ。
私は原作関係読んでないんで知らなかったんですけど、ちょっと感想系サイトを廻ってみたところ、この血の嗜好は原作にはなくて、アニメオリジナルの設定らしいですね。
まほらば』もそうでしたが、原作の設定をちょこっと変えてより面白くするのに長けている木村真一郎監督の面目躍如といった回でした。コンテも自分で切ってましたし。