『涼宮ハルヒの暴走』
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/10/01
- メディア: 文庫
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短編集ですので作品ごとにコメント。
「エンドレスエイト」
いつかやるだろうと思っていた時間の無限ループ。タイトル通りでしたね。
「射手座の日」
長門さんの人間性が垣間見えます(←って以前にも書いた気がするんですが)。次の雪山症候群でも語られる通り、長門さんが人間に近付こうとしている顕著な例なんでしょうかね。
「雪山症候群」
書き下ろし作品だそうで。
終わったような終わってないような終わり方。今後の伏線となる話になりそうです。古泉がしゃべりすぎだと思います(笑)。鶴屋さんがニュータイプであることも露見しました(笑)。
俺は思う。無理して寝かしつける必要はない。たとえそれで楽しい夢を見たとしても、しょせんは夢だ。大切なのは今ここに俺たちがこうしているということなのさ。いくら夢みたいな舞台で夢みたいな大活躍をしてたとしても、目覚めと共に強制終了される幻なんかに意味はない。解ってはいるんだ―。この一連のキョンの独白はダブルミーニングですよね。字義通り眠ることによって見る「夢」の無意味さと、キョンが今いる世界ではない「書き換えられた世界」=「夢」の無意味さです。
キョンは時系列上における『消失』以降、今の世界を守るべきものとする態度を(独白上)明確にしてきています。古泉も機関の一員である前にSOS団副団長であると明言するし、前出の通り長門さんは統合思念体から離れていこうとしている(らしい)し、SOS団としての仲間意識が芽生えはじめているようです。
恐らく、ハルヒが望んでいるからそういう風に変容しているという運命論的側面と、各人各様の能動的な意識変化という主体性の2つが、相互補完的に働いているのでしょう。