『アニマル横町』

第33話 「どき☆どき 突っ込み道2 の巻」 / 「どき☆どき ガーデニング の巻」
Aパートはノーコメントで(笑)。
Bパートにはちょっと真面目に触れてみます。
ケンタがピーマンが嫌いという設定がとても子供向け。実際にピーマンを育てることで情が移り、ピーマンを食べるのを嫌がる理由が、不味いからという感情から、愛しいからという感情に変化します。そしてピーマンは食べられるために作られたのだと、食べられることを望んでいるのだとピーマン(実はイヨ)が説教じみたセリフを吐いて、ケンタのピーマン嫌いが克服されます。
字面だけ読むと「好き嫌いはよくないよ」という子供向けの単純な教訓話に感じますが、童話的な意味の二重性も含まれているように感じました。
ケンタがピーマンを嫌う理由が、「不味い」から「愛しい」に変化するのは上述の通りです。前者は単純に好き嫌いの次元ですが、後者は生命至上主義を象徴しています。
そして食べられることを望むというピーマン(というかイヨ)の主張はそれとは真逆の、食物連鎖の頂点にいる人間が他の動植物を食べることを正当化するための詭弁です。
愛しいから食べられないというのなら、それは偽善的な博愛主義となり、食べられることを望んでいるのだという詭弁を信奉するなら、それは排他的な独善主義となります。もっと言えば、前者はうさん臭い理想主義であり、後者は傲慢な現実主義と通じます。
最終的にケンタは、食べる行為を通じて頭からピーマンの苗が生えてきます。つまり、理想と現実という二者択一ではなく、二者の共存が提示されるのです。
この話を教訓的にしているのは、この二重の教訓性に拠るものなのだろうと思います。


とまあ精一杯好意的に穿ったシナリオ解釈を書いてみましたが、正直に忌憚ない感想を書けといわれれば、あんまり面白くなかったなあ、と。変な踊りが珍妙で面白かったり、ビーマンとかヒィーマンとか小ネタはそこそこウケたりはしたんですが。
脚本は岡田麿里さん。改変後にローテ入りした人ですね。前回脚本の「どき☆どき 美少女イヨ!?」のときは原作っぽくてちょっと面白かったんですが今回はイマイチ乗れませんでした。