『僕等がいた』

第1話
高校生くらいだと、前提のないセンチメンタリズムがあってもいいというかあるべきなのかもしれませんが、一般的ないわゆるいち視聴者としては当座として感情移入の対象がなければそうしたセンチメンタリズムを受け入れることはなかなかに困難であるわけで、私にとってはAパートにおける高橋さんの心の動きを理解は出来てもなかなか追えずに物語進行上のギャップを感じてしまったのですが、それというのも多分、私が少女漫画における典型的なヒーロー(男性)像を律儀に踏襲している矢野くんを、全然格好いいと思わないために、物語、というか本作の一人称である高橋さんの心情に没入することが出来ないからなのだろうとか、客観的に自分を分析しながら見ていたのですが、続くBパートでの矢野くんの心理の掘り下げによって、「あああのAパートで散見されたお調子者行動の後に必ず見せるシーン尻のキザっぽさというのは照れ隠しみたいなものだったのか」と、彼もまた前提のないセンチメンタリズムという立派に高校生然とした感情移入の対象足る人物であったことが描写され、両パートを通じて漸く物語上の歯車が(個人的に)噛み合ったのですが、この展開の早さは原作に忠実であるのか未読の私には分かりかねるものの、矢野と山本姉との恋愛模様という提示された伏線は(個人的には)求心力の弱い謎であって、更に物語上の秘密を次回予告で概ね明らかにしてしまったためか、物語を追う興味はほとんど薄れ、本話数以降、少なくともこれと同等以上は望めない可能性が高い演出的魅力とを併せて鑑みても、「これ1話だけで十分なのでは?」、というのが本作に対する偽り無き初見の感想といったところ。
要するに、様子見ということです。無駄を排した画と展開の適度な省略が奏功してか、テンポはよくて飽きさせないのですが、もうワンパンチ欲しいというか。


(追記)
読み返したら言葉足らずで自分でもよく分からなかったので(笑)、イタリック体部分を補記。