『風の谷のナウシカ』(1984)

ただ、涙だけが零れる。
一般的に、愛では「地球」(=人間)を救えない。
しかし、ナウシカの愛は様々に蹂躙されながらも、風の谷を救い、その愛ゆえに命を救われる。
本作のシナリオは、人間同士の争い、力を求める業、人と自然の共生などといったものについて描かれているのだろうし、解釈されるのだろうが、そんなものには一切興味をもてない。
ナウシカが一途に信じる愛だけが、フィルムを包み込んでいるその「嘘くさい」愛だけが、私を惹きつける。
愛は、「地球」を救えないのだから。
それゆえ、ただ、偽物の涙が零れる。



とまあおセンチはここまでにして、例によって図書館で借りてきた絵コンテ拾い読み。
さすが宮崎駿センセ! と思ったのは、ナウシカがマスクと頭巾を脱いでユパに抱きつくAパート154カットでの「☆はじめて見えるUPです大事に」の文字(笑)。
今回、あまり画面を注意して見ていなかったのですが、それでも何か目に留まったのはアスベルの特攻をナウシカが両手を広げて立って止めさせようとするシーン(Bパート671〜673カットあたり)。炎を背景に衣装の変わっているナウシカが唐突に挿入されたり、臨場感あふれるアスベルとナウシカのカットバックがあったりします。でも、それ以外に何か違和感を感じているような気がしてたんですが、673カットの3番目に「ワアッと身をおこす(広角レンズ)」とあって納得。ざっと斜め読みしただけなので保証はできませんが(笑)、他のカットには広角でなどという指定はなかった(はずな)ので、このカットだけ広角気味のローアングルだったから感じた違和感なのかも。