アニメスタイルイベントに行ってきた

原恵一氏のお話を聞くために新宿へ。
ということで夜の部はスルー(アニメ様ゴメンナサイ)。
通路席仏頂面していたのが私ですがどうでもいいですかそうですか。
年代的に『エスパー魔美』はリアルタイムで視聴しておらず、再放送か何かでかすかに見た記憶がある程度だったのですが、ほとんど何も予習しないで行きました。


上映された3本のうち、一番原監督「らしさ」が出ていた気がしたのが第1話「エスパーは誰!」。「派手に地味」(だっけ?)という原監督の言葉が象徴的。言語(物語)的には全く派手さがないのに、視覚的にはド派手。ご自身は「今見たら無駄なカットが多い」みたいなことをおっしゃってましたが、その「無駄」なカットの自己主張がすごい。物語に派手さがないとは言ったものの、どこかボタンを掛け違えたストーリー上の約束事に対する逸脱ぶりも、なるほど原監督作品「らしく」て、面白かった。
監督がものすごく恥ずかしがっていた第96話「俺たちTONBI」もやはり素晴らしかった。
何というか、若いときの仕事が恥ずかしくないようではダメなんじゃないだろうかと他人事ながら思ったり。その時の全存在を全力でたたき込むような仕事をしていたからこそ、後年見返して自分の若さに恥じ入れるわけで。この「恥ずかしい」という感覚を追体験できるのは物作りをする人の特権ですらあると思う。まあ、その「恥ずかしい」部分を公衆の面前で晒されたことには同情しますけど(笑)。
そういう意味で、今レトロスペクトすべき映像作家は、原恵一なのではないかと思った。作品数もキャリアに比すればそんなに多くないし。とか言いつつ劇場版『クレしん』は(書いてないけど)こっそり見返してたりするんですけど。
そして唐突にDVDボックスの販促イベントに変貌したのは面白かった(笑)。危うく乗せられそうになっちゃいました。
先行発売の『この人に話を聞きたい』はチャージ代が奢りになるということで勇んで購入(笑)。そんな特典が無くても買う予定でしたけど。


それと、全然関係ない私事で恐縮なのですが「やっぱ俺ってオタクじゃねーなぁ」ってことを改めて痛感。こういうイベントに行くたびに思うことなのですが、周りの人たちみたいに知識やアイテムを集積すること自体には、どうしても興味が持てない。勿論、意味がないとは思わないですけど、そこまで物事に執着できない。例えばサインとか写真とか限定グッズとか裏話的な秘話とかに、それほどの興味は持てない。
私の根源的な興味(というかアニメや映画を見る理由)は、松岡正剛氏に倣って言えば、「コンパイル」(編纂)ではなくて「エディティング」(編集)にあるんだろう、と再確認しました。
ま、私の思考力が厳密さに耐えられない、「いい加減」なものだからなんでしょうけど(笑)。