『時をかける少女』(2006)

ギリギリセーフ(笑)。
やっと観ました。地元では公開が今週金曜までという切ない告知が出ていたので。
そのうえ上映が朝イチ一回きりという酷な扱い。夏休みに早起きは辛いのか、おかげでお客さんはそんなに多くはありませんでした。
それでもお客の多くは(見た感じ)中高生で、けっこうすすり泣く音も聞こえたので見せたい人に言いたいことは伝わったんじゃないかなあと(←余計なお世話)。
さて、映画の中身についてですが、普通に面白かったです。うん。
ただ、個人的な意見としては、この映画がまさに「時をかけて」永遠に語り継がれる映画かというと少々疑問にも感じます。
無駄に纏まりすぎていて、「トンガリ」が足りないというか。それと被写体に対する愛が足りない感じがした。
抽象的で主観的な感覚なので上手く説明できそうにないんですけど。
それはそれとして、序盤は「こんなんTVでやればいいジャン」とか思いながら観ていたものの、真琴が自覚的にタイムリープし出すところから、同ポ繰り返しや道路標識など漸く細田監督お得意の演出が散見し出して興に入りました。
バカでもドジでもどっちでもいいんですけど、真琴がただひたすら全力で走り、全力で転がる、行為そのものが「青春」。
何より背景がいいですよね。芝生や木々の緑も空の青さも雲の白さも、何というか曇りがない。
個人的に気に入ったシーンは終盤、野球場へ向かって走る真琴を横水平に移動するキャメラで撮るショット。物語の進行上、絶対に必要なカットではないように一見すると感じるんですが、同じ速度で移動していくキャメラから時々フレームアウトしながらも全力で駆けている真琴が、ベタですが心地良い。今まで「駆けていた」理由とは明らかに異なり、真琴自身が前向きに駆けていく姿は、月並みな表現だが感動的。このタイミングでこれだけの尺を使って挿入する必要のある素晴らしいカットです。
真っ当且つ正当で、素晴らしく面白い青春映画でした。
形容詞の多い感想になってますが、何というか、好き嫌いのレベルでしか語れないんですよね。まだ絵コンテも買ってないし。



(補記)
ああ、漸く分かった。何でこの映画を語ると形容詞ばかりになるのかが。絵コンテの有無なんて関係ねーや。
要するに私が映画を語れない理由と同じで、細田守という作家についてのパースペクティヴがないからだ。特に縦軸が。
知識として細田演出の特徴については分かっている(つもりだ)が、その演出のもつダイナミズムというか作家性を(私の中で)相対比較の上で適切に配置できてない。
恥を承知で書きますと、私、細田作品を『どれみどっか〜ん』40話と『オマツリ男爵』くらいしかまともに観てないですから。
せめて『デジモン』くらいは観てから行けばよかった。
ということで今更ですが本作に対する態度は保留ということで。無知はやはり罪だ。