『ピンポン』(2002)

ビビった。正直TVアニメなんて見てる場合じゃないと本気で思った。
抜群のリズムで切れまくるカットにCGも含めた驚異のキャメラワーク!
「そりゃ狙いすぎだろ」と思った冒頭の水面主観から一気に飛翔して俯瞰に変わるCGによるショットが、実はこの物語を象徴していたとは中途までゆめ思わず。失礼しました。
しかしどのカットも画になるんですよこれが!! 俯瞰だろうと移動撮影だろうとアオリだろうと、物語と役者と撮影と監督とがガッツリとダブルスを組んでのラリーゆえに、誰がどこから力を加えようとも微動だにしないこの画の輝き!(←中村獅童の頭もね!)
バシバシとあたかも無造作に挿入される回想シーンや卓球シーンでのカットのテンポなど、「うぉっ、うぉっ!」と唸りっぱなし。
それにクドカンによるホンのセリフ回しや会話のテンポも実に巧い。溜息。
公開当時は溢れんばかりのVFXを使用していることを持ち上げられていたような印象があったんですが、ところがどっこい本作は溢れんばかりのVFXを自覚的に視聴者に露出させながらも周到に隠蔽しているではないか。技術畑の監督のくせに、CG技術にちっとも耽溺してない。
曽利文彦監督はCGで参加していた『IWGP』つながりでクドカンと窪塚を捉まえたみたいですが、これだけ野心的な作品をこれほどのスタッフ・キャストによって制作できたというのは、やはり僥倖なんでしょう。