『白蛇伝』(1958)

白蛇伝』はやはり「つまらない」。
のんべんだらりと進行する予定調和的なメロドラマと分かりやすすぎる作劇上の起承転結は、今日的な「ドラマ」に狎れさせられている我々にとって退屈に感じる。古典を題材にしているというハンデを負っているとはいえ、画面のテンポの無さにもいささか閉口させられる。
しかし、「つまらない」『白蛇伝』が下らない作品ではないということは火を見るよりも明らかだ。この死んだ物語と構成に命を息吹かせんとする文字通りのアニメーションが雄弁に、そして崇高に「物語る」からだ。
とにかくフルショットの被写体を徹底して動かそうとする気概。特に木彫りの龍の動きや蘇州でのお祭りシーン、大ナマズのカットなどからは、経験不足などモノともしない野心的なアニメーターたちの情熱の息吹が画面から伝わってくる。あたかも許仙に対する白娘の、一見すると馬鹿馬鹿しい、ほとんど盲目的で論理を超えた情熱的な恋のように。



どうでもいいけど『白蛇伝』と『花と蛇』が並んで置いてあるレンタルビデオ屋っていったい……。蛇繋がり?