『少年猿飛佐助』(1959)

王道の冒険活劇。しかしベタであるが故に実に力強い。
更に、個性の際だったキャラクターたちが生き生きと躍動する。コミカルな動物たちの動きや、おけいちゃんに手玉に取られるばったの三次とおけらの金太のコンビのとぼけた描写もおかしい。主役級のキャラたちは善悪二元論的なうすっぺらい性格付けになっているが、それが逆に幸か不幸か脇役やちょい役達の滑稽さや瑞々しさを余計に際だたせている感じがする*1
更に劇中で散見される横構図での移動の大半が右から左に「進んで行く」のも興味深い。左から右へと移動する場合は、ラストのチャンバラを除いて、押し返されたり戻ったり見迎えたりと対立のための移動であることが多い。
この移動方向の一貫性は時代劇という題材も相俟ってか、絵巻物におけるそれとの近似性を感じずにはいられない。



劇中で3年という時間が経過しているにも関わらず、キャラが身体的に全然成長してない矛盾にツッコミを入れちゃいけないのはお約束(笑)。

*1:多分、スタッフがキャラクターのベースになっているからなのだろうけど