『西遊記』(1960)

やはり目立つのは手塚治虫のアイディア。
女(ホントは悟空)の気を引こうと一張羅を着替えまくる八戒や京劇みたいな動きをする金角銀角、小竜の角がアンテナになって電話をしたり、ラストで牛魔王が闘牛になるシーンなど、突飛で面白い。
様々な場面で出てくる歌も、心情や状況を歌詞に託して巧みに説明や描写を省略していき、テンポを出すのに一役買っていた感じだった。
そしてなんといってもメタモルフォーズのイマジネーションが豊か。特に三蔵法師を捕まえた牛魔王が催す宴の一連のシークエンスはすごい。緑色した変な動物が服(?)を脱いで様々な動物に変身していくシーンや骸骨で出来た楽器の数々でジャズを演奏したりなど、訳が分からないけどこの飛躍した感じが実に魅力的で面白い。
『少年猿飛佐助』でも感じたが、どうしても本筋のストーリーや主役級のキャラクターたちよりもちょっとした仕草やちょい役たちの方が見ていて面白く感じる。こういう一種の「遊び」を許容する作品は、見ていて楽しい。