『二十歳の恋』(「アントワーヌとコレット」)(1962)

トリュフォーの描く恋は、いつも女ではなく映画に向けられているようにも見える。
女が映画であって、女を追うアントワーヌ・ドワネル(=トリュフォー)は女に逃げられるのと同時に、映画に逃げられる。女の数だけ映画があって、ドワネルは映画(女)を他の男に撮(盗)られて、もがく。
そんな風に見えるのは、映画に恋するトリュフォーたる所以か。